私立秀麗華美学園
「いつも、やっていそうなことだが」

「別にゆうかだって、わけもなく物に暴力ふらねえだろ」


確証はないが。


「しかも、和人和人って呟きながらやで?」

「それは枕を和人に見立てて恨みをこぶしに込め……」

「な、なんで俺が恨まれんだよ」

「覚え、まったくないん?」


…………。

勝負のことではないにしろ、だ。
いくら教えても成績向上の気配はなし。
それどころか話をしている最中に寝る。
そりゃあ、ゆうかにしてみたら……。


「覚えがないわけはないだろう。しかし、今回は違うと思われるな。
ところで、咲、ゆうかは本当に笠井を好いているのか?」

「この前、それ聞いてん。そしたら、ようわからんこと言われた」

「それなら、説明がつくかもしれないな」

「なんなんだよ、もったいぶらず教えろよ」

「俺が、いつもったいぶった」

「申し訳ございません僕の日本語が間違っていましたどうぞ雄吾様の考えをお話し頂けませんでしょうか」


めんどくさいので適当に棒読みで教えを乞うと、眉をひそめられた。


「お前、勝てよ、勝負。ゆうかはやはり笠井と主役を演りたくないんだろう。
自分が賭け品になっているというのにやる気のないお前を見て、腹立たしいんじゃないか?」

「ゆうかが……」

「せやろなあ。あたしがゆうかの立場やったら騎士なんて解除してもらうわ」

「そ、そこまで!?」

「そこまで」


いやいやいやいやそれはやばい。
ゆうかとの関係を断ち切られたら、俺はそれからどうやって生きていくってんだ。


「謝っておいた方がいいだろうな。そして何より、勝負に勝つことだ」

「それはちょっと……」

「あたしらやてわかってるて。ほら、さっさと行ってきい!」


今ですか……!?

躊躇したが、振り返らずとも後ろから異様なオーラが伝わってくるので、俺はどうしようもなく、走り出した。
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