私立秀麗華美学園
チャイムが鳴り、俺はすごすごとゆうかの2つ後ろの自分の席へ。

ちなみにチャイムが鳴ったといって、放送のキーンコーンを想像してはいけない。
敷地内には鐘つき堂があり、チャペルなどにあるリーンゴーンという鐘が実際鳴らされているのだから。



担任が来るまでの数分間、ゆうかはある1人の男子と喋っていた。
名前は笠井 進
その男子こそが、俺のライバルという存在だ。


スポーツはそこそこにでき、成績は、まあ、おいといて、顔はたぶん中の中。
そしてPAK制度により騎士という大役を仰せつかった俺が、ここまでむげにされている理由。
それがあの男なのである。
と、俺は思っている。


笠井が持ち合わせているものはというと。まず、整った(しかし性格がにじみ出た)容姿。人並み外れた(短距離は俺のが速いけど)運動神経。申し分のない(……必死で考えたが罵る言葉が出て来ない)成績。

ついでにA組の委員長。
ゆうかが副委員長のこのクラスで。
しかもPAK制度が適用されていない、いわゆるフリーというやつだ。


しかし欠点のない人間はいないわけで。

自意識過剰の猫かぶり。それが、知る人ぞ知る笠井 進の裏の性格なのである。
表の一人称は「僕」。恥ずかしげもなくレディーファーストを実行し、女の子に甘い言葉を囁くのは大得意だが、男という男を見下している。

ただし目上の人間には礼儀を尽くすというのがポリシーであり、更には、というかこれが一番の理由なのだろうが、家格はまさに「泣く子も黙る」といったところ。
政治家一家の分流である笠井家は、何十年か前に会社を興していて、今や世界を相手にする一大商社に成長している。
あんまり考えたくはないが、寄付金の額は生徒の中でも1、2を争うところという噂も。


そんなわけで男子から冷たい視線を浴びせられる理由は十二分に揃っている。
が、裏の性格を知らず(……知ってても?)笠井を好きだというアホがクラスに3、4人はいるという始末。


俺が敵わない理由は十二分どころか十五分ぐらいに揃っているのだが、それに加え半年前ぐらいにちょっとしたエピソードがある。












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