私立秀麗華美学園
見かねた雄吾が、やっと門に近づいてボスと向かい合った。
明らかにうんざりといった様子で、ため息をつきながら言葉を発する。


「もう、いいだろ……。いい加減、帰ったらどうだ」

「黙らんかい! 眞子を見ずに便所に行ったお前に、便所に行く権利はないねんじゃー!」

「別にそのために帰れと言っているわけでは……」

「ないねんじゃ、やなくて、ないんじゃ……」

「あ……便所に行く権利はないんじゃー!」


上から4つ目の台詞は、咲のものである。

さっきからなぜ門の外側にいるのかと思ったら、ボスに、関西弁についての助言をしていたらしい。
そして大人しく言いなおすボスはとても可愛い。


「おい、咲、何やってんだよ」

「気になんねんもん、しゃーないやん!」


まあ、気持ちはわからなくもないが。


「いてもうたるかー!」

「それは、いてもうたろか……」


……とりあえず、咲の浪花っ子魂は置いておくとしよう。


「ちょっと貸してくださいね」


ゆうかはというと、近くの女教師に赤ぶち眼鏡を借りていた。
なんだか、どこかで見たことがあるような……。

……まさか。


「もう止めて!」


眼鏡をかけたゆうかが、雄吾とボスの間に割って入った。
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