。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「キリっ…」
名前を呼んだところで何かなると言うわけでもないのに、俺は思わず聞いていた。
正直キリがどこまで知っている…と言うか勘付いたのかは分からない。もしかして実際しでかしたことよりももっとタチの悪いことを想像したのかもしれない。言い訳をするつもりはなかったが、ちゃんと説明をしたかった。
「ね、怖いでしょ?
何が怖いって?
―――女の勘よ」
キリは悪戯っぽく笑って
「指一本で足りるか?ケジメはつけないとな」俺はわざとのように言った。
「要らない」キリはくすくす笑った。
「ねぇ翔。ダイヤの指輪とパールのネックレス、どっちが私に似合うと思う?」
そう言われて、俺は喉の奥でちょっと苦笑の声を挙げた。
キリは―――思った以上にイイ女で、賢い。買い物一つでチャラにしてやる、と言うことか。
「そう言えば婚約指輪がまだだったな」
「0.5カラットぐらいあるのがいいわ」
「お前は指が細いから映えるだろうな」
「ハリー・ウィンストンがいいわ」
明るく笑うキリの横顔をちらりと見て
俺は次に言うべき言葉を飲み込んだ。