。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「大体、あんたそのルックスと財力やったら女には困ってへんやろ?」と速人は胡散臭そうな何かを見るような目つきで俺を冷ややかに睨み、腕を組む。「何でわざわざ白虎の人間と…」
今度は俺が冷ややかに速人を見る番。
「並の女が俺のオンナの役が務まると思うか?自慢じゃないが俺の秘書に雇った人間(全員男)は二週間で四人辞めた。今こそ有能が秘書が居るが」
「せやかて遊び相手に…」と速人が言いだし
「遊び相手とは言っていない。“お飾り”だ」キッパリ言い切ると、心はまたも声を挙げて笑った。
「やっぱおもろいな~この男♪」
「せやかて、あんたと心が繋がってる知ったら“スネーク”がどうでるか」
速人が眉間に皺を寄せ、今度ははっきりと睨みつけてきた。きれいに整った顔立ちで睨んだ顏は妙な迫力を感じる。
「俺らかて命あってのしろもんや。この話は無かったことにしてもらうで」と言い立ち上がろうとしたが、
「待ちぃや」
心がその白くて長い脚を伸ばし速人の行く手を阻んだ。
速人が脚を止め立ち上がったまま心を睨み下ろした。
「せやったら早よ、その紙の意味解明すればええだけやろ。この男が言う“お飾り”には文字通りのもんと、そうやないもんがあるんやろ。それで早よ解決するならそれでええやないか。
早よ終わらせたいわ、こんな“茶番”」
心は再びソファの背もたれに腕を置き、目を細めて俺の背後に広がる景色をしげしげと眺めている。その顏にさっきまでの人懐っこそうな笑顔は消えてきた。はじめて見る冷ややかな表情…いっそ無表情と言った顏つきで呟いた言葉に、俺は―――
はじめてこの女に“個”を見た気がした。
“茶番”は俺と付き合うと言う契約ではないことをこの一瞬で悟った。
スネークとの対決のことを言っているに違いない。
「勝手にせぇ」速人は上着を乱暴にひっつかみ、今度こそ背を向け帰ろうとしたが、近くにいるボーイを引き留め、何かのメモを渡すと
「ここの一番高いボトル、この部屋に届けてや。あの男が払うさかい」と俺の方を目配せ。ボーイは「かしこまりました」と恭しく頭を下げる。
「何ならさっきの“人材派遣”分もきっちり払っておくが?」と皮肉りながら速人に笑いかけると
「領収書は不必要や」と吐き捨て、今度こそ去って行った。