。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
さっきの重く圧し掛かるような重圧的な音色が、今はきれいで美しさも感じられる程の音色に変わっていて、素人の耳だけどここまできれいに二つの音色を使い分けできるのは凄いと思った。
「やっぱ芸術家やから気難しいんか?」と戒はよっぽど好き…て言うかファンなのか、そのバイオリニストのことをあれこれイチに聞いていた。
「別に…気難しい感じじゃないわよ?すっごく人当たり良くて礼儀正しかったわ」
「ホンマ?ぁあ!!!マジでサイン欲しい」
戒が唸り声を上げた。
そのシトウ ヒビキと言うのは相当いい女に違いないと思ったが
「ミュージックビデオありますよ?見ます?」とキョウスケがタブレットで某有名動画サイトを開いてくれた。それを全員で覗き込みながら、オーディオから流れている曲と同じオペラ座の怪人で、黒いタキシードと背中に広がる長いマント姿、顏の半分を仮面で覆った
男、
がバイオリンを弾いていて、ちょっと拍子抜けした。しかもオペラ座の怪人のコスプレ?にしちゃレベル高い。歳は…叔父貴よりちょっと上って感じかな。かなりのイケメンだった。
何だよ、男かよ。とちょっと安心したのも束の間…このバイオリニスト、まるで指がもつれるんじゃないかって言う程早い指使いでバイオリンを弾きながら、しかもダンスを繰り出している。
彼がステップを踏む度、動く度、マントの裾が妖しくも美しく舞う。バイオリニストとしての腕は…正直分からない。ただ素人目から見ても上手だと言うことは確か。
だけどあたしの目が釘づけになったのは、この早い手さばきの上まるで正確な機械のようによく動く四肢。軸がしっかりしてブレないし体が柔らかい…
しかも、かなりの角度で逸らした背でバイオリンを弾きながら流し目のカメラ目線、マントの裾が優雅に舞っていて…
てか
「「「なんかエロ……」」」
あたしとリコ、キモ金髪と千里の声が重なった。
いやらしい意味じゃなくて、色っぽいってこと。
バイオリンを弾きながら時折こちらに流す視線と言い、軟体動物を思わせる柔らかい腰使いと言い背中と言い
やっぱエロ…じゃなくて色っぽい。
「なぁなぁ~次会ったとき、サイン頼んでくれへん?“戒くんへ”て入れてくれへん」と戒はイチに付きまとっている。
このシトウヒビキてバイオリニストのこと相当好きなことには違いないけど、イチは正直面倒そうだった。
「あんたもマニアックね。そう言えばあんた三味線やるって聞いたけど、響輔から」イチは早々にこの話題から逃れたいのか話を変えた。
「やるって言うても、昔の話や。今はほとんど触らへん」との会話に
「え!龍崎くんが三味線!?」とリコが驚きの声をあげた。
「サクラは知ってた?」とエリナに聞かれ、あたしはぎこちなく頷いた。
戒とは―――一度だけ琴と合奏したことがある。
(※。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。参照)