お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 真帆はそれを少し不思議に思いながらも定食を食べ終えた。

「ご馳走さまでした」

 お皿に手を合わせてから蓮の方にも頭を下げた。

「副社長、ご馳走さまでした」

「いや…こちらこそ私の我儘に付き合わせてしまって申し訳なかったね」

 蓮は真帆に昼休みを上司と過ごさせたことを気にして、何度目かの謝罪の言葉を口にした。
 真帆は大丈夫ですと微笑んだ。
 本心だった。
 いくら社交的な彼でも取引先との会食はゆっくり食事を楽しむということからはほど遠いはずだ。
 社食でランチを取ることが彼のちょっとした目先を変えて、刺激になったとしたら嬉しい。

「副社長のお役に立てたならそれでいいです。しかもランチ代が浮いたんですから一石二鳥ですよ」

 彼がこのことを気にやまないようにと、少し戯けて真帆が笑うとつられたように蓮も微笑んだ。
 けれどまたあの何か言いたげな表情を浮かべた。
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