お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
 実家に来いという2ヶ月ぶりの父からの呼び出しを、蓮が拒否できなかったのは、真帆を盾にされたからだ。

「お前が話さないなら、明日お前のところの新人秘書を社長室に呼んで事情を聞く」

 蓮ですらまだ自分の気持ちを彼女に告げられていないというのに、そんなことをされてはたまらない。結局、夜も更けてから蓮は実家に顔を出した。

「いやぁ、ここまで上手くいくとは思わんかった」

 父和正はすでに何杯目かのウィスキーらしく少しほろ酔いで上機嫌だ。

「父さん、べつに彼女とはそういう関係ではありません」

 蓮はシャツの胸元をくつろげながら彼の前に座る。そう、真帆とはけして和正が思うような関係ではない…今はまだ。

「何を言う!人目も憚らず社員食堂でいちゃいちゃとしておったという話じゃないか。誰彼かまわず嫌がらせのように睨むお前が、食券を買ってやったりお茶をついでやったりと完璧なエスコートだったと評判だぞ」

 自分がいかに注目されているかを自覚しろと言った一条はある意味で正しかったのだ。一日でここまで噂におヒレがつくとは。
 蓮は眉を寄せた。
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