お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「そう、真帆との見合いがうまくいけばいい気晴らしになるとか言って」

 真帆はシルバー眼鏡の生真面目な一条の顔を思い浮かべた。上司に女性との付き合いを勧めるなんて意外だなと思いながら。

「…あのときは、女と付き合うことの何が気晴らしだ。仕事の邪魔にしかならないって反発したけれど…」

「けれど…?」

 蓮が真帆の耳に唇を寄せた。

「…真帆がいるからこの綺麗な景色に目を向けられるんだ。アイツの言う通りだったよ」

 そう言って真帆の耳を食んだ。

「きゃっ!…れ、蓮さ…」

 くすぐったくて、いやそれだけじゃなくて真帆は身をよじる。けれど真帆をがしりと包む蓮の腕は、逃がさないぞとばかりにびくともしない。

「今から思えば最初からアイツは知ってだんだな。真帆が俺が嫌がるタイプのお嬢様じゃないって。知ってて黙っていたんだろう」

 真っ赤に染まる真帆の耳を唇で蓮が弄ぶ。

「あ、…だ、ダメ」

 昨夜は何回もそうされてそのたびに真帆の身体は火がついたみたいになった。その感覚が鮮やかに蘇り真帆は身を震わせる。
 明るい朝にはそぐわない触れ合いだと思った。
 蓮が真帆の耳元で笑う。
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