恋に負けるとき



「お前ら何余計なことしてんだよ。



お前らに関係ないだろ」



犯人は隣のクラスの麻美たちだった。



別に彼女だったわけでもない。



大勢で遊んだことあるくらいの、派手な三人組。




意味わかんねえよ。何でそんなことすんの?




「何よ。何で渋谷が怒るのよ。




あたしたちは渋谷のために」



麻美が怒ったように言う。



廊下で大声だすから、



通りすがるみんなの視線が集まる。



何言ってんだ。



「頼んでねえんだよ」




「あの子が悪いんじゃん。



その気もないのに振り回して」



友香も勢いにのったように、言いつのる。




何か考えてもみなかったな。



俺が好きなせいで



田所さんに、迷惑かかるなんてな。



謝るんか?



俺が好きになったせいで、何か言われてごめん。



俺がひつこく好きだから、何か言われて



ごめん。



って?



俺まじで、ただの迷惑なヤツじゃねえ?



麻美たちと喋りながらも、



そんな風に田所さんに想いを馳せてしまう。



「あんな子やめなよ。もういいじゃん。



渋谷には似合わないよ」



サキがわかったように言う。



何でだよ。



マジで腹立つ。



お前らに迷惑かけてねえだろ。



なんでお前らに



田所さん…



おれの気持ち




あきらめさせられないといけないんだ。



何で田所さんに…。





麻美たちに



傷つける言葉、



口にしそうになったとき



< 46 / 71 >

この作品をシェア

pagetop