続・闇色のシンデレラ
SIDE 凛太郎
壱華さんの手を引いて自室に戻っていく若。
……なんだったんだ。
デコピンされた額はジンジンと痺れに似た痛みを感じている。
「凛兄ちゃん大丈夫!?おでこまっかになってるよ!いたいのいたいのとんでけ~!」
「……今どきそのまじない使うヤツいるんだな」
「どう!?とんでった?」
「ん、あぁ、ありがと」
そんな俺を見かねて憂雅が昔懐かしいまじないをかける。
痛いのは変わらないけど、気持ちだけ受け取ったという姿勢を見せようと小さな頭を撫でてやる。
すると、同じタイミングで頭に置かれる大きな手。
「司水、さん?」
驚いた。それは側近頭の司水さんの手のひらだったからだ。
「……気に入られましたね、凛太郎」
「はい?」
「志勇は目をかけた者にイタズラするくせがありまして」
「イタズラ、ですか?」
「ええ、嫌いな人間には無視を決め込むくせに、気に入った人間にはとことんちょっかいをかけるんです。
そのおかけで、剛なんか眉毛を燃やされてました」
どうやらこの人の目から見て、俺は「気に入られた」らしい。
それはよく分からないが、お気に入りになったせいで眉毛を燃やされたという剛のアニキは気の毒だ。
もしかするとそれで今もあの人は眉なしなのか?
「彼に気に入られた人間は必ずと言っていいほど出世します。
しかし気に入られたからといって図に乗らないように。
まあ、いつか叩き上げのエリートとして成長できるよう、できる限りのサポートはします」
「はい……ありがとうございます、精進します」
立ち上がって部屋を出る司水さんに頭を下げる。
その人の大きな手のぬくもりはどこか懐かしくて、記憶の片隅で家族を思い出した。
人情味あふれる荒瀬組は確かに居心地が良くて、胸のあたりが温かかった。
壱華さんの手を引いて自室に戻っていく若。
……なんだったんだ。
デコピンされた額はジンジンと痺れに似た痛みを感じている。
「凛兄ちゃん大丈夫!?おでこまっかになってるよ!いたいのいたいのとんでけ~!」
「……今どきそのまじない使うヤツいるんだな」
「どう!?とんでった?」
「ん、あぁ、ありがと」
そんな俺を見かねて憂雅が昔懐かしいまじないをかける。
痛いのは変わらないけど、気持ちだけ受け取ったという姿勢を見せようと小さな頭を撫でてやる。
すると、同じタイミングで頭に置かれる大きな手。
「司水、さん?」
驚いた。それは側近頭の司水さんの手のひらだったからだ。
「……気に入られましたね、凛太郎」
「はい?」
「志勇は目をかけた者にイタズラするくせがありまして」
「イタズラ、ですか?」
「ええ、嫌いな人間には無視を決め込むくせに、気に入った人間にはとことんちょっかいをかけるんです。
そのおかけで、剛なんか眉毛を燃やされてました」
どうやらこの人の目から見て、俺は「気に入られた」らしい。
それはよく分からないが、お気に入りになったせいで眉毛を燃やされたという剛のアニキは気の毒だ。
もしかするとそれで今もあの人は眉なしなのか?
「彼に気に入られた人間は必ずと言っていいほど出世します。
しかし気に入られたからといって図に乗らないように。
まあ、いつか叩き上げのエリートとして成長できるよう、できる限りのサポートはします」
「はい……ありがとうございます、精進します」
立ち上がって部屋を出る司水さんに頭を下げる。
その人の大きな手のぬくもりはどこか懐かしくて、記憶の片隅で家族を思い出した。
人情味あふれる荒瀬組は確かに居心地が良くて、胸のあたりが温かかった。