続・闇色のシンデレラ
「壱華……壱華」



いつしか体を揺さぶられ、目が覚めた。



「ああ、よかった……」


目を開けると志勇がそこにいた。

彼は珍しく不安そうな表情をしていた。

ふと瞬きをすると目尻を伝う違和感。

ああ、寝ている間も泣いていたのか。それで志勇はこんな哀しげな顔をしているんだ。

ぼんやりとした頭で考えた。

なんとなく起き上がると、有無を言わさずわたしを強い力で抱きしめる志勇。



「……志勇、痛いよ」



喉がカラカラでひしゃがれた声が出た。

わたしの声に反応して腕の力を抜く志勇は、耳元でこう呟いた。



「……そばにいてやれなくて悪かった」



……どうして謝るの?



「なんで?志勇のせいじゃない」

「聞いたんだ、お前のこと。先週から腹が張るって言ってたから、その時すぐ連れていけばよかったと思ってな」



ああ、志勇はもう事情を知っているのか。

それを聞いて、なぜかふつふつと湧き上がるのは、怒りだった。



「その場にいたらいたで、また強がってたよ」

「……どういう意味だ」

「そのままの意味。志勇がいたら強がって平気なふりをしてたよ、きっと。
あなたに心配させたくないから」



理不尽なこのイライラはどこからやってくるのか。



「志勇はそのままのわたしでいてはほしいなんて言うけど、そんなの無理だよ。
本当のわたしはネガティブで、1人が好きで理不尽なことがあれば殻に閉じこもるし、嫌なことからすぐ逃げる人間だから。
だから常に人の目を気にして、ストレスに晒されてるようなこの状態が疲れた。
もう何もしたくない。誰にも会いたくない」



わたしは意味もなく不満を吐き出した。

そして自分自身が嫌になってうつむいた。
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