続・闇色のシンデレラ
妖しく笑う志勇に、怒る気にはならず、むしろ少し気分が良くなった気がした。

根本的なことは何も解決していないのに、口にしただけで楽になるのはどうしてだろう。

不満を吐き出した相手が志勇だからなのか、それとも誰かに愚痴をこぼす、こういった行為をすると気が楽になるのか。

とりあえず話してみて、だいぶ心が軽くなったのは明確だ。



「2ヶ月間寝て過ごすのはやだなぁ」



ストレスの解消による安心と同時に出たのはまた不満。



「なるべくそばにいる、2ヶ月くらいならなんとかなるから」

「本当に?わたし寝てばっかりだから志勇もヒマを持て余すと思うよ」

「そりゃこっちでもやれる仕事があるから大丈夫だ。今は自分と絆のことだけ考えとけ」

「じゃあ、お言葉に甘えて」



ほんの数分前まで暗い心境だったのに。

どうしてこの人は常に前向きでいられるんだろう。



「志勇みたいになれたらなあ」

「俺みたいにならなくても、壱華はおふくろにそっくりだから心配するな。年取るにつれてきっとああなる。
お前は十分強いよ。大丈夫」



大丈夫、その言葉はわたしにとっては魔法だった。

幾度となくその言葉に助けられた。志勇がいるから前向きでいられた。

1人じゃないんだ、そう思ってもう一度、自分に立ちはだかる壁と立ち向かうことにした。
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