【完】ボクと風俗嬢と琴の音


生意気そうな顔をした雌猫。
甘えたい時は甘えて
少し成長したら肩に乗るのが好きだと知った。
けれど構って欲しくない時は触ってもツーンと顔を背けるし
寂しくなければ自分のペースを乱されたくない。
でも構わなかったら構わないで、足の周りをゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄って
「肩に乗せよ」と命令してくる。



猫らしい、猫。



でも俺は、昔から猫派だ。
当時はペットとして飼うなら断トツで犬の方が人気だった気がする。
ここ最近猫が人気になって高額で取引きされるが、当時は忠実心の強い犬の方がずっと人間には人気だったと思う。



小さな頃、妹が猫が欲しいと言って
両親は隣町でたまたま里親募集として出ていた猫を引き取った。
小さな頃から猫と暮らしてきたせいも勿論あるのだけど、そうでなかったとしても断然猫派だった気がする。


その中でも、長毛種の猫が好きだ。


綿あめみたいにふわふわの毛で
お日様の匂いがして
ツンツンしている性格だけど
その分デレついた時の可愛さは破壊的で



実家で飼っている猫は現在も健在だけど雄猫だった。
個々によって性格は違うんだろうけど、雄と雌は性格も少し違って感じる。


雄猫の方が甘えん坊。
雌猫の方がより猫っぽい。


家に連れて来てから1か月。
もう琴音を手放すという選択肢はなくなっていた。


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