エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「そうなの? って由宇ちゃん、その上着脱いだ方がよくない?」
「だ、大丈夫です」
急いで前を掻き合わせたものの、香澄の手の方が早かった。するりと脱がされ、肩があらわになる。
「由宇、それ、どうした?」
智也は腕時計を見たとき同様に驚いた様子で由宇を見た。〝綺麗だ〟や〝似合ってる〟といったニュアンスの視線ではない。どことなくムッとしたようにすら見えた。
どうしてそんな顔をするの?
悲しさが一気に押し寄せてくる。
「ちょっとトイレに行ってきます」
香澄から奪うように上着を取り、バッグを持って席を立つ。
嫌な音を立てていく鼓動がうるさいくらいだった。慣れないヒールでつまずきそうになりながら、レストルームのドアを開ける。
大きな鏡に映ったのは、今にも泣きそうな情けない顔をした自分。そんな表情と背伸びしたワンピースのアンバランスさが滑稽だった。