エリートパイロットの独占欲は新妻限定

「もうやだ……」


やりきれない想いが口から溢れる。
高級な腕時計も、自分の姿を見た智也の顔も、これ以上見ていられない。せっかくの智也の誕生日なのに、お祝いするどころか楽しいムードを台無しにしてしまった。


「……帰ろう」


それしかないと思いレストルームのドアを開けると、そこに智也が立っていた。


「あの、ごめんなさい。ちょっと気分が優れなくて」
「上着を着た方がいい」


由宇が腕にかけていた上着を智也が肩から羽織らせる。


「……似合わないですか?」


だから羽織った方がいいと言ったのだろう。


「そういうわけじゃない」


そう言う割に顔はイエスと言っている。
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