エリートパイロットの独占欲は新妻限定
これでは子どもが駄々をこねているのと同じ。そうわかっていても止められなかった。
「……これ、なに?」
「なにって、香澄さんがいつも送ってくれてたのっ」
「香澄が?」
気持ちが高ぶり、語気まで強くなる。
最初こそありがたいと思って見ていたが、いつの間にか嫉妬に変わっていた。見なければいいのに、見ずにはいられない葛藤に心の奥で苦しんでいたのだ。
「由宇、これは違う」
「違ってなんかないっ。もう……智也さんのバカ!」
そんなことひとつも思っていないのに。一度ケンカ腰になった口調はそう簡単に戻らない。
由宇は智也にスマートフォンを押しつけたまま、店を飛び出した。
「由宇!」
すぐに追いかけてきた智也を振りきろうと、ちょうど乗客を降ろしたタクシーに飛び乗った。
「すぐに出してくださいっ」
ドアが閉まり車が走りだす。智也の手が窓ガラスをかすめそうになったが、寸でのところで届かなかった。