エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「これって?」
香澄は首を傾げながら智也がかざしたスマートフォンの画面に見入った。瞬間、顔に影が差す。
「由宇にこんなものを送りつけて、いったいなにを企んでいるんだ」
「た、企むなんて物騒な言い方しないでよ」
「立派な企みだ。これを見て由宇がどう思うかわかってやったんだろ」
どの写真も女性と楽しそうに写っているものばかり。いかにも海外で羽根を伸ばしています的な構図だ。
だが、すべて由宇と結婚するずっと以前のもの。智也にやましい点はなにひとつない。
香澄は悲しそうに下げた眉を突然吊り上げ、険しい表情になった。
「だって智也が私の告白を何度もスルーするからいけないの! それなのに突然結婚するなんて言って連れてきたのが、あんな小娘なんて!」
「小娘?」
「そうでしょ? 大学を卒業したばかりの二十二歳なんて幼稚園児も一緒。私よりもあんな子を選ぶなんて許せないじゃない」
「幼稚園児はどっちだ」
智也は吐き捨てるように言った。