エリートパイロットの独占欲は新妻限定


◇◇◇◇◇

智也と次に会ったのは、それから四日後のこと。
両親に紹介され、いよいよ結婚へ向けて本格的に動き始めた。

彼の実家を後にして乗り込んだ車で由宇が大きくため息をつくと、智也は「そんなに緊張した?」と吹き出す。


「緊張しますよっ」


智也と一緒にいるだけでもそうなのだから、その両親ともなればさらに上をいく。なにを話したのかもよく思い出せないくらいにテンパっていた。突然の結婚だというのにふたりから快く受け入れられたのは幸いだ。

証券会社に勤める父親も専業主婦の母親も穏やかであたたかく、ふたりから智也のような優しい子どもが生まれるのは納得だった。そのうえ父を亡くしたばかりの由宇を気遣ってくれ、実の親だと思って頼ってほしいとまで言ってもらえた。


「よしよし、よくできました」


まるで子ども相手のように褒められ、なんとなくもやっとする。実際に彼から見れば子どもっぽいが、だからこそ余計だ。


「なんか不満そうだな」
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