エリートパイロットの独占欲は新妻限定


頬をツンと突かれ、自分の唇が尖っているのに気づいた。


「……子ども扱いはしないでください」
「そんなつもりはないけど? 由宇がかわいいだけ」


さらっとかわされた。
そう言われると心がふにゃっとなって、なにも返せなくなる。ニコニコした笑顔も最強だ。


「さてと、早速区役所に行こうか」
「はい」


先ほど智也の実家でふたりそろって婚姻届にサインをし、両親にも証人欄を記入してもらったのだ。
それを提出すれば正真正銘の夫婦になる。そう思うと、助手席でスッと背筋が伸びる思いがした。


「真島さんって運転が丁寧ですよね」


乗せてもらうのは今日で二度目。スポーツタイプの車だからビュンビュン飛ばすのかと思いきや、ひとつひとつの動きがやわらかい。急発進や急ブレーキはまったくないし、安全確認も確実。細やかな気配りのあるドライビングは、ある意味癒しといってもいい。
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