エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「そう? 由宇を乗せてるからってのもあるけど、職業病かもしれないな」
「職業病?」
「飛行機の燃料は高騰しているから、燃料をできるだけ使わずに操縦するのが大事なんだ。だから車を運転するときも自然とエコドライブになるのかも」
「そうなんですね」
運転はその人の人柄が出るとよく聞くから、智也の場合はそれだけでもなさそうだけれど。
「職業病といえば、天気も気になるな」
「飛行機に乗っていなくても?」
智也は前を向いたまま頷く。
「この雨だと着陸が大変だろうなとか、機体が揺れそうだなとかね」
「なんかおもしろいですね」
ただ単に〝明日は雨が降りそう〟というものではないらしい。情報が飛行機に関わるものに変換されるみたいだ。
「ほかにも職業病ってありますか?」
「そうだなぁ……」
智也はしばらく考えるようにしてから、「あるある」と楽しげに笑った。