エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「由宇には敵わないよ」
「そんなことないですってば」
深雪の存在をつい忘れてお互いを褒め合っていると、すぐ近くから盛大なため息が漏れた。
「あぁ見ちゃいられなーい。お邪魔でしょうし、私はこれで帰るねー」
荷物を手早くまとめて大きなバッグを「よいしょ」と掛け声付きで肩にかける。
「深雪さん、ありがとうございました」
「いいえ、どういたしまして。今度お兄ちゃん抜きでごはんでも食べにいこうね」
ペコッと頭を下げる由宇にひらひらと手を振る。
「忙しいところ悪かったな」
「次はもっと早めに予約入れてくれると助かるんだけど」
冗談めかして軽く釘を刺し、深雪は「あっ、やばい。急がなきゃ」と大慌てでマンションを出ていった。
ついさっきは深雪の存在を忘れていたくせに、彼女がいなくなった途端妙にふたりきりを意識して、ぎこちない空気が舞い降りる。
合った視線を由宇が不自然に逸らすと、「俺たちも行こうか」と智也は手を取った。