エリートパイロットの独占欲は新妻限定


ふたりの馴れ初めはどうだったのか。お互いの好きなところはどこなのか。結婚ほやほやのカップルを前にしたら当然出るであろう質問が、由宇をハラハラドキドキさせた。

馴れ初めはまだしも、好きなところは無難に〝優しいところ〟と答えながら、智也がなんと言うのか耳に神経が集中する。由宇と同じように当たり障りのない答えなのか、それともなにか核心をつくようなものなのか。

ところがサラッと〝全部〟と言われ、少し残念な気持ちになる。特別〝ここ〟というものがないと、智也に自分のどこを推せばいいのかわからない。

父親の遺言がきっかけとはいえ智也に好きになってもらえるよう努力したいが、方向性がつかめないのだ。

本当に困ったな……。

由宇がなんとかビールのグラスを空にしたときだった。


「由宇ちゃん、ここいい?」


トイレに立った智也の椅子を指差して、美女がにっこりと微笑む。モデルのような体型に長い髪をルーズにまとめ、切れ長の二重瞼が美しい。背中が大胆に開いた真っ赤なドレスがよく似合い、ここにいるどの女性よりも華やかな印象のある女性だ。
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