エリートパイロットの独占欲は新妻限定
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その日帰宅した智也は玄関に置かれたスーツケースを見て目を丸くした。
「もう準備できたの?」
「はい。うれしくて張り切っちゃいました」
優しい笑みを浮かべた智也に頭をポンポン撫でられ、さらに気持ちは盛り上がる。
「急でごめんな。もっと早く言えればよかったんだけど、休暇がとれるか微妙なところだったんだ」
「急でもなんでも大丈夫です」
ニコニコ顔で首を横に振った。由宇の心はすっかりバリ島に飛んでいる。
就職していなかったのが、こんなところでいい方に転がるとは。新入社員として働き始めていたら、平日にいきなり休暇なんて取れなかっただろう。
「そんなにうれしい?」
「はいっ」
元気よく返事をして大きく顔を縦に振ると、智也はクスッと笑いながらもう一度頭を撫でた。