エリートパイロットの独占欲は新妻限定
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翌日。マンションを一緒に出た智也とは空港に着いたら別行動になる。
一緒にいられるギリギリのところまでと智也がスーツケースを引いて歩いていると、キャリーバッグを引きながら何人かと歩いてくる香澄とばったり会った。
メッセージアプリにたまに送られてくる写真では見たことがあったが、香澄の制服姿を直に見るのは初めて。あまりに美しすぎて由宇は言葉も発せない。映画のワンシーンでも見ているように様になっていた。
これからフライトなのだろう。会うのはあの夜以来だ。
同僚たちの列を離れた香澄の視線が智也から由宇に移り、驚いたように目を何度かまたたかせた。
「今日はお見送り?」
「いや。由宇を乗せてデンパサールにね」
「……由宇ちゃんも一緒に?」
香澄の表情がほんの一瞬だけ曇ったように見えた。仕事ではなくプライベートで一緒にいけばいいのにといったところだろう。
「向こうで休暇が取れたから急きょね」
「あ、由宇ちゃん、働いてないって言ってたものね」
「……はい」