エリートパイロットの独占欲は新妻限定


そこを言われると肩身が狭い。華々しいCAを前にしていると余計だ。


「今がんばって就活中だもんな」


智也がすかさずフォローしてくれると助かる。ホッとしつつ「そうなんです」と由宇が続けた。


「そういえば昔、智也とデンパサールのフライトで一緒になったことがあったよね」
「そうだったか?」


智也の記憶は曖昧らしい。


「やだな、あったじゃない。ふたりでバビグリンを食べたでしょ?」


由宇の知らないふたりの時間だ。
フライトが一緒になれば現地で共に過ごす時間も当然ながらあるだろう。それはわかっていても羨ましい。そしてちょっぴりジェラシーだ。


「香澄!」


先に歩いていった同僚から呼ばれた香澄は軽く手をあげて答えながら、「向こうでの話、あとで聞かせてね」と由宇に微笑みかけてから華麗に歩きだした。
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