エリートパイロットの独占欲は新妻限定
その後ろ姿を見送りながら、やっぱり綺麗だなと思わずにはいられない。頭の先からつま先まで三百六十度、完ぺきなのだ。
十歳の年齢差を埋められないのなら、せめて彼女みたいになれたらいいのに。
そう思わずにはいられなかった。
「じゃあ由宇、ここからしばらくの間お別れだ。デンパサールに到着して荷物を受け取ったらゲートで待ってて。そこで合流しよう」
由宇のチェックインを見届けてから、智也はSJAの事務所がある方へ向かった。
搭乗手続きが開始されるまで過ごそうと、由宇が足を進めたのはファーストクラス専用のラウンジ。家族は社員割引がきくからと智也が用意してくれたのだ。
フライト前のひとときから贅沢な気分を味わえるなんて最高だと、ウキウキしながら椅子に座った。コーヒーを飲みながら、昨日大急ぎで書店でゲットしたバリ島のガイドブックを眺める。
滞在日数が短いため、観光地に行くのはなるべく控えてふたりでゆっくり過ごしたい。空港までの車の中で智也ともそう話していた。
由宇にしてみたら、智也といられるならばどこでどうしようといいのだけれど。この旅で少しでも妹から脱却して、智也に大人の女として認めてもらおうと考えていた。