エリートパイロットの独占欲は新妻限定
「よし! がんばるぞ!」
ひっそりと呟き、両手で拳を握って胸の前で軽く振った。
そうこうしているうちに空港内に搭乗手続きの開始を知らせるアナウンスが流れる。勢いをつけて立ち上がり、由宇はゲートへ向かった。
GSに見送られながら初めて足を踏み入れたファーストクラスの機内は、ホワイトレザーのゆったりとしたシートが目を引き、格調高さをアピールしている。エコノミークラスの窮屈なシートとは雲泥の差だ。
それを見ただけでも由宇のテンションは上がる。ほかの乗客の手前なんとか声は抑えたが、今にも体がぴょんぴょん弾みそうでヒヤヒヤした。
乗客全員の搭乗が済み、いよいよ飛行機がゆっくりと動きだす。操縦かんを握っているのは機長だろうが、コックピットに智也もいるのかと思うとわけもなくドキドキした。
でももしも、なにかの手違いでそこに智也がいなかったら?
そんなふうに心配になるのは、今隣に彼がいないせいだろう。ありもしない間違いだと自分を納得させるが、ひとりきりでいるのはやはり心細い。