いちご
その場に足が同化してしまったように、動けない。
慶兄……大胆すぎるよ。
呆然とするしかない私は、周りの視線とざわめきによってハッとして現実へと引き戻された。
ど、どうしよ!?るぅに見られちゃったよ!!
しかもナニ!?この居づらい状況………!?
「もも…お前……」
若干挙動不審になりかけていた私の背後から、低い少し掠れた声がして、恐る恐る下を向いたままゆっくり振り返った。
「あ…や、やあ」
違う。間違えた。
「本当に…マジで付き合うんだ…?」
聞いた事のないような、気の抜けた瑠衣斗の声に、思わずパッと顔を上げた。
「…え?る…ぅ?」
何か堪えたような、笑っているような、いろんな感情をごちゃ混ぜにしたようなよく分からない表情の瑠衣斗に、思わず戸惑ってしまった。
「マジで…なんだな」
笑っているのに、泣いているような辛そうな顔に見えるのは、何故だろう。
何で……そんな顔するの?
分からない。るぅが分からないよ…………。