腕の中の静けさは・・・

twenty two

ソウルのマンションはそのままにアメリカへ戻った。





オレは日本でお父さんやお母さんのそばでって言ったのにヒョンが

「一緒にアメリカに連れて行ってやってくれよ。家族のそばに居させてやってくれ」って言ってくれたので天音も連れてきた。




すぐにって思いながらも
手放すことも離れることも出来そうになくてずっと手元においていた。


いつでもどこでもみんなが見渡せるリビングの特等席。

昼間はぽかぽか日差しが明るくて、夜は月明かりに満天の星が見える。



在宅勤務が多くなっていたオレの席からはいつでも天音が見える。

ずっと天音を見つめてた。


天音は見守ってくれてたすよね。
気がつくとそこにいて見つめる先には笑顔の天音。


カノンは毎日そこで1日の出来事を報告する。
シオンは朝晩欠かさず手を合わせ天音の好きな緑茶を静かに置く。



天音が居なくなって1年が過ぎようとしていた。






「ね、ユソナ。」

「ん?」

リビングのいつもの席で仕事をしているとオンマが声を掛けてきた。



「あなたいつまで天音ちゃんをそこに居させとく気?お兄様にも申し訳ないわよ。
それにシオン、このままじゃよくないわ。」


「ん、わかってる。そうだよね。そろそろちゃんとする。ちゃんとしなきゃだよね」



シオンが笑わなくなった・・・
オレと距離を置くようになって、オレとの会話が減っていた。



でもどうすることもできなかったオレ。


よくないこともわかってる。
このままでいいわけがないのもわかってる。


それから目星を付けていた天音の居場所の手続きを済ませてアボジとオモニも報告をした。




「いいところじゃない。これなら天音ちゃんもよろこぶわね。」

「本当だな。早く移してあげるといいよユソン」

「うん、、子供たちも気に入ってくれるといいんだけど」

「大丈夫よ。」





2週間後の11月の初め、
子供たちにも説明をして子供たちが学校の間に天音を連れて行った。


それから少しした温かな昼下がりカノンとシオンを連れて天音のところへ向かった。












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