腕の中の静けさは・・・
『ねえ~、このマンションずっとこのままっすか?』


『ん~なんで?』


なんでって・・・
気にはなってた。

ずっとずっと・・・




今は韓国でふたりで暮らしてる。

日本に帰ってくることはあってもふたりで生活するには少し狭い。


まして子供ができたらさぁ~

それにココってさ・・・?







『なに?またルイのこと?』

・・・・・・決まってんだろ!!アイツもココに来てたんだろ?




『・・・・・・・・』

『言いたいこと言えばいいじゃない(笑)』

『なんかムカつくなそれ!』

『ココにもルイは来てました。だからってルイの思い出があるからとかそんなんでココ手放さないわけじゃないよ』

『じゃなんでだよ』



『ココには父と母の思い出もあるのよ。離れて住んでるお兄ちゃん家族にとってはココは実家みたいなものだし・・・狭いけどね』


『ぁ、、ごめん』



『謝らないでよ。私が居なくてもココがあればお兄ちゃんもいつでも帰ってこられるし、私たちが日本に来た時だってココがあればこうやっていつでも泊まれるじゃない。便利でしょ?』


『でもココって家賃高いっすよね?』


都内の一等地。

生活するには何でも揃っていて交通の便もいい。

ほとんど留守なのにもったいないって正直思う。



でもそういう理由なら納得するしかないのだけれど・・・




『大丈夫。ココは私のもの』

『え?そうなんすか?』



『うん。父親が入院して母とふたりでってなったときにね。元々の実家を売って父の病院の近くのココを買ったの』


『そーだったんすね』






『・・・・・・・・・・・』



『・・・・・・・』





ん?


その時だった・・・

天音の背中がツルンって沈んだ!!!



『うわっ!!ちょっとなにしてんすか!!!』


頭までお湯にプクって沈んだ天音を抱き上げた。












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