腕の中の静けさは・・・
だけどそこに天音は居なくて・・・




『ヌナぁ~』


ヌナなんて・・・久しぶりに自然に出てきた。

なんとも情けない声のオレ。





『どこぉ?あまね~?』



ココって小さな声が聞こえた。





そこは天音のお父さんとお母さんが居る場所。


ドアを開けるとすっかりパジャマ姿の天音が正座をして手を合わせていた。



タオルを巻いたままのオレは慌てて着替えに戻る。





手を合わせて目を閉じたままクスクス笑っていた天音の横に正座した。



『報告まだだったから・・・』

『ん、そーすね。アボニム(お義父さん)オモニム(お義母さん)すみませんでした。』




そう言ってオレも手を合わせた。


オレが目を閉じたのとほぼ同時に目を開けてオレを見た天音が笑ってた。





無事に式を挙げたことの報告と

ずっと大切に、絶対幸せにしますってもう一度約束して目を開けた。





『ふふふん』

ってニコニコしてる天音にオレも自然と笑顔になった。





『なんて言ったの?』

『内緒っすよ』

『じゃなんて言ってた?』

『天音のことはオマエに任せたぞって(笑)』

『笑。そっか』

『天音はなんて言ったの?』

『え~自分は言わないのに?』

『ききたい(笑)』



『無事に式終わりましたって』

『それから?』



『それからぁ~また韓国戻るけどゴメンネって』

『あ、、、、』

『仕事だろって』

『ん・・・そーすけど・・・』



『これからはユソンがいるから安心だって』




『・・・・・・』

『ユソンと幸せになりますって・・・』

『ん・・・・ン』





涙が溢れてきて正座した足にポタポタ落ちてゆく。





『あは、、そんなに泣かないでよぉ』

『だって天音が悪いじゃん!』

『ユソンが聞くからでしょぉ~ホラぁ~も~泣かないでぇ~』



茶化すように言うから『しっくろ(うるさいっ)!』って怒ってみた。




『きゃ!怒られた。うるさいだってぇ~聞いた?ママ?パパちゃんと聞いたよね?』

『やぁ!!!』




きゃ~~とか言いながら部屋を後にした天音。







もう一度、仲良く微笑むふたりを見上げて

『本当に大切にします。一生かけて幸せにして行きます。だからお義父さんもお義母さんも安心してゆっくり休んでください。僕が守ります!任せてください』



そう言ってオレも部屋を後にした。











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