腕の中の静けさは・・・
『ユソン?』

『なんすか』

『名前もありがとう』

『ん?』

『パク・アマネにしてくれて・・・』


『あ~~オレがそうしたかったんすよ』






夫婦別姓が当たり前の韓国

きっと天音のありがとうはそう言う意味


大反対されたに違いない。とか。

オレが色々言われてしまうかもしれないし
言われているのかもしれない。とか。



天音は通称でいいよって言ったのに「やだ」って譲らなかったのはオレ。



だから会社でも3ヵ月前に籍を入れてからは『パクさん』って呼ばれてる天音。


仕事中は色々面倒だからって言われたんだけど、それもオレは譲らなかった(笑)

天音が誰かに呼ばれると一緒になって「パクさぁ~~ん」なんて言ってみたり(笑)



お互い忙しくてどっちかが出張だったりすれ違いもあったりな生活。

だから結婚を機に行動の緩い部署に転属を願い出た天音だけど見事に却下され
すれ違いの忙しい生活は当分変わりそうにない。





『ねぇ~パクさん?』

『んっは(笑)うんなに?なに?パクさんなに?あひゃひゃ』

『ぅん。あのね』

『ぅん』



この時の事を後々になって天音に聞いたら

あんな笑顔を返されてすごく言いにくかったって。




実は結婚式と新婚旅行の話を上司にした時に言い渡されていたことがあった天音

言わなきゃって思いながらここまで持ち越してしまったって言ってた。




怒るよなぁ・・・・・・・って。





怒るだろ?普通。怒るに決まってる。

ん、絶対怒るよ!当たり前に怒る。




なにがって、それはさ・・・






『なんすっかぁ~(笑)』

『ん、あのね・・・』

『なになんかイヤなこと?』

『・・・・』



何も言わない天音に嫌な予感しかしなくて顔つきが変わったのを自分でも感じた。













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