腕の中の静けさは・・・
「…イヤ?」

「そんなわけなぁ~いじゃん(笑)」

「……」




そんなことを言い出した私を抱きしめて何も言わなくなったから
イヤ?って聞いたら頭の上からクスって笑いながらそんなわけないって・・・


でもまたそれっきり。

こんな奥さんに困ってるんだよね・・・




やんわり体を離そうとすると「えぇ~~なんでぇ~」って抱きしめてくれる腕が強くなる。


ユソン?






「ねぇ天音?」

「ン…」




私のその声は
ユソンの胸の辺りでユソンの優しい鼓動に吸収されてしまいそうなくらいに小さい。

私の頭をきゅって抱え込みなおすユソン。





これだけでも幸せなのに・・・



抱いて欲しいなんて欲張りなのかな・・・

疲れてるんだよね・・・








「シオン・・・」

「ぇ?」


「オレね本当にうれしくて。シオンに会えて・・・」

「うん。わたしも」

「うん。だよね。」

「ん・・・」


「天音、シオンを産んでくれて本当にありがとう。オレをシオンのアッパにしてくれてありがとう・・・」

「そんな。私の方こそユソンの赤ちゃん産めたこと本当にうれしいよ。ありがとう」


「オレの赤ちゃんじゃなくって、ふたりのシオンね」


「ん・・・私たちのシオン。」

「うん。」

「・・・・ん」




私の背中をゆっくりさするユソン







「妊娠ってさ。ほんと大変じゃん」

「え?」



「お腹がどんどん大きくなって色んなこと大変だったでしょ」

「そんなことないよ。いつもユソンが色々支えてくれたじゃない」



「ん。でもお腹にシオンを身ごもってる天音の大変さの比じゃないから」

「ユソン・・・」

「それだけじゃなくって出産も大変だったでしょ」


「そんなこと・・・」

「産まれたら産まれたでもっと大変で」

「私は幸せよ?」

「うん。そう言ってくれる天音でオレも幸せなんだけど・・・」





けど・・・?

もうユソンの腕の中にじっとしていられなくて体を離して顔を上げて視線が合う位置まで動く。





「よかった、泣いてるかと思った」って笑うから


即急に「ね?どういうこと?けど・・・ってなに?」って聞いた。






「ああ~~泣かないでぇ。。ちょっと天音ぇ、、泣かないでって・・・」




困ったように何度も何度も涙を拭ってくれるユソン。


少しベッドから起き上がり私が泣き止むまで抱きしめてくれた。




顔を見上げると
「シオン起きなくてよかった(笑)」って笑うから慌てて私もシオンに視線を向ける。













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