例えば、こんな始まり方
横浜パスタで、お昼を食べたあと。

「ふぅ~っ、お腹いっぱい」

と言う、純一。ミニパンだけど、パスタを楽しんで10個も食べりゃあ、そりゃあ、満腹にもなるわな。

「あはは、気に入った?」

「うん。割引券、もらったから、また一緒に来よう。そのときは僕がおごるよ」

「ありがとう。家に帰って、ひと休みしよか」

「その前に・・・質屋、ってあるかな?」

「あるけど・・・どうするの?」

「ん。これを売ろうかと。もう、必要ないから」

キラキラした、指輪が2つ。多分、プラチナ。はっ、とした私に純一くんは

「まぁ、人生、色々だよな。・・・質問は受け付けません」

とちょっと哀しげに言った。どきっとした。こんな純一くんを見るのは初めてだ。

質屋の前に来ると、純一くんは

「ちょっと、ここで待ってて」

と言って、質屋の中に入って行った。10分後。

「はぁ~、スッキリした。でも、意外と(かね)にならないのな」

「まぁねぇ。質屋も、商売だから」

それから、2人でスーパーで買い物をして・・・支払いは純一くんがしてくれた。

「さて、家に帰って、シャワー浴びて、着替えて?17時から井の頭公園近くのカフェで面接だよ」

「了解!」

家に帰って、準備が整うと16時だった。姉の店までは15分もあれば行ける。

「カフェオレでも飲んで、リラックスする?」

純一くんも私もカフェオレ派。それは、朝食のコーヒーで判明していた。

「いいね」

コーヒーメーカーでコーヒーを作り、牛乳をレンジでチンしてカフェオレを作る。

まったりムードの中、純一が言う。

「お姉さんと仲いいんだね。こんなに簡単に面接引き受けてくれるなんて」

「うん、紗季お姉ちゃんは、ホントに私のこと可愛がってくれてる。仲良し姉妹だと思うよ」

「羨ましいな。僕は兄弟がいないから」

「そっかぁ、一人っ子なんだ」

こうやって、少しずつ、純一くんのこと知っていけたらいいな、って思う。2つのリング・・・純一くん、結婚していたのかな?いつか、話してくれるよね?
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