例えば、こんな始まり方
芝生のエリアに来て、レジャーシートを広げてサンドイッチの箱を開けた。

「卵と、ツナと、ハムときゅうり。お好きなものをどうぞ」

途中のコンビニで、ペットボトルのアイスカフェラテを買ってきていた。

「おいしそう・・・やっぱ、シェフが作ると違うね」

「そうかな・・・『ブロッサム』でもやっていけるかな?」

「大丈夫だって!純一くんの作る料理はいつも美味しい。それに、先輩シェフもいるし、マニュアルもあるから、大丈夫よ。心配しないで」

「はぁ~。明日からか。緊張しちゃうな。・・・そういや、何時に行けばいいんだっけ?」

「ちょっと待って。紗季お姉ちゃんに確認する」

私はスマホで紗季お姉ちゃんに電話する。日曜日だから、家族団欒中かな?

「・・・あ、紗季お姉ちゃん?今、大丈夫?」

「ああ、真由。どうしたの?」

「昨日の、中山純一くんなんだけど、明日は何時から行ったらいい?」

「あぁ。言い忘れていたわね。オープンは10時なんだけど、初日だけ、9時にきてもらえるかしら。いろいろ、説明したいこともあるし」

「わかった。伝えておくわ。じゃあ、ね」

「楽しい休日を。純一くんと一緒、なんでしょ?」

どきっ、とした。そうだ、純一の彼女、と言うことになっていたんだった。

「うん。井の頭公園でピクニックしてる。いい天気よ。そっちは、どこかに出掛けてるの?」

「家族で、みなとみらいよ。映画を見に来たの。あと30分くらいで入るところだったから、タイミングよかった」

「映画を楽しんでね。じゃあ、ね」

「うん。じゃあ、また」

純一くんに向き直る。

「長くなってごめん。10時オープンで、明日だけ、9時に来て欲しいって。オリエンテーションがあるみたい」

「分かった。寝坊しないようにしないとな」

「ね、食べよ?いっただきます!」

「いただきます」

思った通り、純一の作ったサンドイッチは絶妙のおいしさだった。
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