桃色のアリス
「聞いたわ。アリス、旅に出るんでしょう?」
リズの言葉に、リズは全て知ってるんだな、と思った。リズは困ったように笑いながらもは不安を隠せないようで、目にはうっすらと涙が滲んでる。
「……うん」
肯定をする以外答えようがなくて、思わず視線を落とす。
ピンク色のドレスと、城の床。どちらも綺麗なもので輝いているのに、気分はちっとも輝いてくれない。
「その、リズ……」
「もう!嫌ねアリス。 主役が泣いたりしたらダメよ?ほら、顔を上げて笑って?」
ポンポン、と頭を優しく叩くリズ。その優しさに涙が溢れそうになったけれど、何とか堪えて顔を上げる。
「アリス。離れてもアリスを忘れたりしないから大丈夫よ?私、待ってるもの。だから、ね? 不安なことも不満もあるだろうけど、今は笑って? せっかくパーティーだもの。楽しみましょう?」
「うん」
せっかくのパーティーだもん。リズの言うとうり楽しまなくっちゃ。
「ほら、舞踏のメロディーが始まるわ」
演奏者達の方を見ると、ちょうど指揮者が棒をふったてころだった。音楽は舞踊曲へと変わる。ゆっくりとした単調な音楽から、華やかな曲調になると、城内は一層賑やかになった。誰もが手を取り合い、リズムに合わせワルツを踊る。
「アリス、踊りましょう」
「うん!」