やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
過去からの使者
「市橋さん」
「ん?」
隣の机から古屋が声をかける。
「部長、やっぱりすごいですね」
古屋が和哉の方を見て言う。その言葉に莉緒が和哉の方を見た。

今日もタイトな紺のスーツを着こなしている。

和哉がマーケティング課に来てからあっという間に一か月が過ぎていた。

和哉は職場の雰囲気をつかみ、現在の仕事の状況を把握し、ほとんどの店舗を実際にリサーチしに足を運んだ。分析力や判断力が頭角を現し、その存在感に課の社員は一目を置いている。
莉緒もその一人だった。

和哉と一緒に仕事をすると、自分自身もどんどんと影響されていく。
もっと努力が必要だと思った莉緒は今まで以上に仕事に熱心に打ち込んだ。

「部長、〇〇駅前のデパートに入れるブランド、決めたらしいですよ。ほとんど話は決めているって言ってました。」
古屋の話を聞いて莉緒は一緒にカフェでデパートについて話をしたことを思いだしていた。
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