ホワイトデーにくちづけを
立ち止まる先輩は、彼に抱きつく私の腕にそっと触れる。


「今日はもう休んだ方がいいよ。ほらまだこんなに熱い」


冷静な先輩の声とは反対に、熱にうかされた私は口を開く。


「先輩、大好き。帰らないで」


こんなに大胆な行動を全部熱のせいにして彼に甘えてみたかった。


「うん、さっきの顔を見たらわかったよ。だから今日はそれだけで充分だから」


「やだ、やだ、夢かもしれないもん。こんなことあるわけない」


「夢って、そんなこと」


彼は私の腕をほどいてこちらに向き直り優しい眼差しを向けてくれる。
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