綾瀬くんは私が大嫌い
「…ぁ…そうだね。土日が休みなんて基本ないもんね。」
「ん」
「続き見る?それとも新しいの見る?」
「続き見る」
春樹が眠る静かな部屋。
さっき見ていたところまで巻き戻しをして、改めて見始める。テレビはまたアクション映画のド派手なBGMをならすけれど、なんだかやけに静かに感じた。
ちらりと綾瀬くんを見る。
ポテトチップスを器用に箸でつまんで食べながら映画を見ている。
今日はおとなしく私の隣にいてくれるんだな。春樹の家だからか?
「綾瀬くん」
隣にいるのに呼ばずにはいられなかった。
私に呼ばれた彼は視線を一度向けてくれたけれどすぐテレビに戻す。気にせずに続ける。
「告白、何て言ったの」
「…は」
「水瀬からの告白なんて答えたの?」
「…は?」
2回目の「は?」 はかなり威圧的だった。
え?そんなに怒る?
動揺して口角に変な力が入った。恐らくの予想、結構ムカつく顔をしていると思う。
綾瀬くんはあからさまに怒りの表情を向けてきた。"水瀬桜子,,を私が口に出すとそんなにムカつくのだろうか。
「お前何もしらねぇのな」
「えっ、ごめんなさい」
なにがごめんなさいなのか全く理解に至っていなかったが許しを乞う。
「俺が水瀬と付き合ったと思う?」
「いや、水瀬本人が何にも言わず綾瀬くんにニコニコ近寄ってたからどっちなのかイマイチ分かってなかったかも」
「気持ち悪」
「え」
「気持ち悪いよ、お前」
「えぇ?」
私を罵って困惑させる綾瀬くんはイラついた顔をしたまま、再び映画を見始める。
え?この話終わり?
理解が追いつかないまま綾瀬くんの眺めていると、口元にポテトチップスの塩がついていることに気づいた。
「綾瀬くん、ここ塩ついてる」
「…」
「ねぇ、ここ」
「…」
「ねぇ、綾瀬くん、舐めてとろうか?」
綾瀬くんの愛おしい唇に指をさし、のんきしつこく述べたからなのか、今度は勢いよく私の方に振り向いて言った。顔はめちゃくちゃ怒っていた。
「舐めろよ」