堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
そのちょっとした隙が、いつも私の心をぎゅっと痛くする。この人のことが好きだなって、何度でも再確認させられる。
「志門さん」
「ん?」
私の呼びかけに返事をしながらも、彼の視線がなにげなくサイドテーブルのスマホに注がれているのがわかった。
距離は二メートル以上離れているから、定期的に表示される着信通知のバナーに気づいているかどうかはわからない。
でも、気づいていたとしても……今はどうかこっちを向いて、私だけを見つめてほしい。そんな思いから、私は手を伸ばして彼のスマホを取ると、画面を隠すようにして胸に抱いた。
志門さんは不思議そうに、その行動の意味を問う。
「どうしたの? 俺の携帯を大事そうに持って」
「電話がありました。春名友里恵さんって方から」
「友里恵から? ……ああ、もしかして瑠璃は、かわいいヤキモチを焼いているの? でも、友里恵はそういうのじゃないよ。ほら、前に話しただろ? 若手の頃、ウィーンの建築事務所に勤めていたことがあるって。その時の同僚で、今でも仕事上で協力し合っている、古くからの友人といった感じかな。瑠璃のことも、散々惚気ているよ」