堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「就職は?」
「まだ決まってないんですけど……たぶん、バイト先の洋菓子屋さんでそのまま働くことになると思います。ウィーン菓子も多く取り扱っているお店なんですけど、そこで初めてザッハートルテの味を知って、すっかりハマっちゃって。だから今回、本場の味を食べてみたくてウィーンに」
「なるほど。いいね、好きなものに囲まれて働くのは幸せだろう」
「はいっ! 幸せです!」
満面の笑みで頷くと、志門さんの頬もつられたように緩む。でも、私は言ってからちょっとだけ後悔していた。
大好きなケーキに囲まれて働くのが幸せだなんて、また子どもっぽい一面を見せてしまったように思えて。
「付き合ってる人は?」
志門さんの質問攻めは、まだ続く。
……にしても、見るからに恋人のいない私に、そんなこと聞かないでください。
「いたらひとりでウィーンに来たりしません。お話しした通り、花より団子なので」
「ということは、好きな人も特にいない……?」
「はは、当たりです。だからこんなに色気も可愛げもないんですよね」
自虐的に言って、ぽりぽり頭をかく。