堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 大学の友人たちは、彼氏や好きな人のために、日々服装やメイク、時には下着のことまで悩んでいる。

 それに比べて私ときたら、適当な格好で大学とバイト先を行き来するだけで、メイクが崩れたって直しもしない。自分の顔より、ケーキを見つめている方が断然ときめくのだ。

「今の瑠璃に可愛げがないとは思わないが、色気だとかそういうものは本気の男に出会えばおのずと引き出される。たとえ今は花より団子のきみでもね」

 志門さんの大人びた助言に、どきりと胸が跳ねた。

 だって彼がジッと私を見つめながら話すものだから、まるで彼本人が私の色気を引き出させてみせると宣言しているように錯覚してしまって……。でも、そんなわけないってば。

「あ、ありがとうございます」
「うん。もうすぐ着くよ」

 窓の外を流れる景色はいつの間にか歴史的建造物が建ち並ぶ市街地。

 すごい、これ全部、テーマパークとかじゃなくて、本物なんだ……。ガイドブックの写真で見るよりずっと情緒ある街並みに、胸はますます高鳴った。

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