堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
間もなく到着したホテルは、もともと宮殿として使われていたのだという、クラシカルで豪華な建物だった。真っ白な外壁に立派な柱。細部にわたるまで凝った装飾が施され、一軒丸ごと芸術的な建築だ。
「すごい……どんな人が泊まるんだろう」
「案外、こんな普通の男かもしれないよ」
「えっ?」
聞き返した時には志門さんはすでに入り口に足を踏み入れようとしていて、慌てて広い背中を追う。……まさか、志門さんはここに宿泊を? そんなわけないよね。
イギリスなら女王様。アメリカなら大統領。日本であれば天皇陛下なんかが泊まるのに相応しいような、本当に格調高い雰囲気だもの。
利用するのはカフェだけとわかっていても緊張する……。その緊張は、ホテルの中に入ると、ますます高まった。
エントランスから広いロビーの全体に敷かれているのは、真っ赤なふわふわの絨毯。窓際には、きっちり折り目のついた重そうな布のカーテン。天井から下がっているのは、豪華なクリスタルのシャンデリア。テーブルや椅子などの家具も、とにかく王様やお姫様が使うような気品あるものばかりだ。
スーツ姿の志門さんはともかく、カーキ色のブルゾンにグレーのニットワンピ、黒のショートブーツというカジュアルないで立ちの私は、場違い感が半端ない。