堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「瑠璃さん、具合はどう?」
「お母様……私は大丈夫です。それより志門さんは?」

 そう尋ねると、お母様は心苦しそうに眉根を寄せて答える。

「怪我の治療は問題なく済んで……ついさっき、意識も戻ったわ」
「本当ですか? よかった……!」

 私は心から安堵して、思わず瞳を潤ませる。でも、どうしてお母様はそんなに浮かない顔をしているのだろう。

「会話もできましたか?」
「ええ。……でも」

 お母様はそこで押し黙ってしまった。その沈黙になにか不穏なものを感じていると、やがてお母様は無理やり浮かべたような笑みで私に言った。

「瑠璃さんは、赤ちゃんのこともあるし今夜はゆっくり休んだ方がいいわ。志門には、明日……顔を見せてあげて?」

 なんだろう。胸がざわざわする。まるですぐに私には会わせたくないみたい……。

 お母様の態度は腑に落ちなかったが、どのみち今夜ベッドを抜け出して彼に会いに行くなんて不可能だ。

 お母様の言う通り今夜はきちんと眠って、明日元気な顔を彼に見せよう――。

 私はそう決めて、その夜は自分の体と心を回復させるのに集中することにした。

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