堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
翌朝、朝食のあとの診察で、私は無事に退院できることが決まった。志門さんが命がけで守ってくれたおかげで、赤ちゃんにも異常はない。
そのことを報告して、彼にお礼が言おう。志門さんも、昨日よりさらに回復しているといいのだけれど……。
自分の荷物をまとめて退院の手続きまで済ませてから、私はお母様に教えられていた彼の個室を訪れた。
ノックをしてから中を覗くと、頭に巻かれた包帯が痛々しくはあるものの、傍らに座るお母様と笑顔で談笑する彼の姿があり、私は心底ホッとした。お父様は仕事なのか、今は姿が見えない。
お母様は私の姿に気づいて立ち上がり、志門さんに告げる。
「ほら、瑠璃さんよ。あなたは彼女を守ろうとして、こんな怪我をしたの」
その言い聞かせるようなお母様の口調に少し違和感を覚えていると、志門さんの薄茶色の瞳が私をとらえる。しかし、そこにいつもの優しさと愛情はなく、どこか困惑した様子だ。
「志門さん?」
どうしちゃったのかな。いつもの彼じゃないみたい。長く見つめられれば見つめられるほどその違和感は大きくなり、やがて彼は小首を傾げて呟いた。
「……誰?」