堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「きみの荷物をクロークに預けてくる」
「あ、はいっ。すみません……!」
私のスーツケースを手に正面のフロントに歩いていく志門さんを、遠巻きに見つめる。日本人離れした美しい彼の容姿は、ラグジュアリーなホテルの空間に違和感なく溶け込んでいた。
すごいな……志門さん。こうして見ると、昔の貴族みたい。別世界の人だ。
ぽうっとその姿に見惚れていると、彼が私のもとに戻ってくる。
「お待たせ。どうかした? ぼうっとして」
「いえ、なんでも。楽しみです、ケーキ」
そう言いつつも、なぜだか胸がいっぱいで、お腹がすいた感じがあまりしなかった。あんなに楽しみにしていたザッハートルテが食べられるというのに……。
自分の体調に首を傾げつつ、志門さんに連れられて同じ階にあるカフェへ向かった。
広いカフェ内にはたくさんのお客さんがいて、私のようにカジュアルな格好をした観光客も少なくなかったので、少し緊張が解けた。ケーキやコーヒーの他、食事を取っている人々もいる。