堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「脳に損傷があるということですか?」
「それが、MRIでも脳波検査でも異常は見られなかったの。お医者様は、精神的なものが大きいんじゃないかって」
「精神的……。じゃあ、治療方法は?」

 私の切実な問いかけに、お母様はますます悲痛な面持ちになる。それは有効な治療方法がないと言っているのと同じだった。

「催眠療法や臨床心理士の先生によるカウンセラーが受けられるみたいだけど……どれもすぐに効果が得られるわけではないし、本人の感情が余計に不安定になる可能性もあるから、もしも日常生活に支障がないなら、自然に思い出すのを待つのが一般的だそうよ」
「そんな……」
「瑠璃さん自身も、とてもつらいのはわかってる。でもどうか、あの子を見捨てないであげてくれる……?」
「お母様……」

 私だって、もちろんそうしたい。だけど、私を愛していた記憶を失った彼と、これからどうやって暮らしていけばいいのだろう。彼にとっては、いきなり他人と生活するのと同じくらい、居心地が悪いのではないだろうか。

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