堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「写真を撮っても大丈夫でしょうか?」
「ああ。この店は人気だからね。訪れた観光客はみんなそうして、SNSで自慢しているよ。瑠璃もSNSをやっているの?」
「いえ、私はとくに。ただ、母に写真を送りたくて」

 私はそう言ってバッグからスマホを取り出し、ザッハートルテの写真を一枚だけ撮影する。

「お母さん?」
「はい。若い娘がひとりで海外旅行なんて反対する親も多いと思うんですけど、父を早くに亡くし、女手一つで私と兄のふたりを育てた母は快く送り出してくれたので、感謝の意味もこめて旅行中のことは色々報告しようと決めてるんです」
「なるほど。仲がいいんだな」

 志門さんの言葉に自信をもって「はい」と頷く。

 でも、家族の中には私のひとり旅に反対している人もいたけどね……と、母よりずっと心配性でお節介の兄の顔を思い浮かべつつ、スマホをしまってフォークを握った。

「では、さっそく」
「どうぞ、召し上がれ」


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