堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
志門さんに見守られながら、丁寧に切り分けたケーキをぱくっと口に入れた。
しっとりとした口溶け、舌の上に広がる上品で濃厚な甘さ、鼻から抜ける香り高いカカオの風味……。
「んん~、最高です~」
ぎゅっと目を閉じて、しみじみ呟く。口の中にケーキの存在ががなくなってもまったりした余韻が残り、口から鼻までの一帯全部が幸せだ。
「本当に至福って顔をしてるな。瑠璃のその顔を写真に撮りたいくらいだ」
「え、や、やめてくださいよ、恥ずかしい」
「冗談だよ。でも、素直に感情が表に出る女性は魅力的だと思う」
優しい微笑みで私を見ながらさりげなく褒め言葉を口にして、志門さんもケーキを口に運ぶ。
しゃ、社交辞令だってば……。ついついドキッとしてしまう自分に言い聞かせる。そして、またケーキをひと口頬張り志門さんを見ていると、彼の唇の端にチョコレートが少しだけついていた。
あ……なんか、かわいいかも。
十歳も年上で、高貴なオーラを纏う美しい容姿の彼が見せるちょっとした隙に、胸がトクンと鳴った。